アートの未来はARとAIでどう変わる?ジャン=フランソワ氏インタビュー

アートの未来はARとAIでどう変わる?ジャン=フランソワ氏インタビュー

MyWebARブログの特別インタビューとして今回お届けするのは、デジタルアートと拡張現実(AR)の分野で先駆的な活動を続けるアーティスト Jean-François Réveillard(ジャン=フランソワ・レヴェイヤール) さんです。映像、仮想世界、3Dプリント、そしてAIとAR。複数のメディアを横断しながら、作品の「届け方」そのものを更新してきた人物でもあります。

スイスを拠点に、チューリッヒ、パリ、そして世界各地を行き来しながら制作を続ける彼は、自身を「Cross Media Picture Maker(クロスメディア・ピクチャーメイカー)」と表現します。そんな彼がいま感じている、ARとAIが切り拓く表現の可能性とは。


まずは自己紹介と、これまでの制作の歩みを教えてください。

私は自分のことを「クロスメディア・ピクチャーメイカー」、そしてポスト・コンテンポラリーの流れの中にいる存在だと思っています。子どもの頃から、文章を書いたり、絵を描いたり、映像を作ったりしてきました。理系(生化学)と美術(ルーヴル美術館付属の教育機関)を学んだ後、クラシックな表現とテクノロジーを混ぜるようになりました。

映像作品は1981年から、ヨーロッパでのWeb TVは1996〜1997年頃に立ち上げました。2007年以降はSecond Lifeのような仮想世界で展示やストリーミングも行っています。3Dプリントにも取り組み、現在はAIとARを探究しています。日々の制作は、ドローイングと“書くこと”が軸です。

また、ギリシャの学校(Ellino Germaniki)で、EU関連プロジェクトにおける「アート×テクノロジー」の教育面のコンサルティングにも関わっています。スイスのエンゲルベルクにある私のアートスペースは、新しいコンセプトやアプローチを試す“ラボ”のような場所です。


ARに初めて触れたのはいつですか?最初の印象は?

最初は、QRコードが「リンクとして機能する」ものとして目に入りました。そこからすぐに、映像と組み合わせたら面白いと考えました。最初は価格表やWebサイトへの導線のような使い方が中心でしたが、それでも「現実のモノに新しい次元が足される」感覚に強く惹かれました。

いくつかのプラットフォームを試し、自分でコーディングもしました。そのうえで、自分のコンセプトと噛み合うツールを探していった、という流れです。スマートフォンを通じて、現実とデジタルが交差する。その可能性にずっとワクワクしています。AIが入ってきたことで、その興奮はさらに大きくなりました。

www.youtube.com/@yoorart

アートでARを使おうと思ったきっかけは?

デジタルアートは「届け方」を更新し続ける必要があります。ARヘッドセット、ARそのもの、そしてAIが普及していくことで、状況は確実に新しい段階へ進んでいます。

アートは時代ごとに“新しい筆”を手にしてきました。存在するかどうか、良いかどうか、という議論よりも、「使うべき時が来ている」と私は感じています。私たちが築こうとしている文明のプロセスの中に、自分も居続けたいからです。


没入型技術(ARを含む)を作品で扱い始めて、どのくらいになりますか?

ARを用いた最初の正式なパブリック展示は、2022年6月のバーゼル・アートウィークでした。その前に1年ほど、いろいろな形式を試し、リサーチを重ねました。

当時は、3Dプリントの彫刻と、その彫刻を自然の中で撮影した写真を組み合わせ、各写真に「その場で起動するAR映像(in situ)」を重ねるシリーズを制作しました。もっと前から、2007年以降は仮想世界での没入型プロジェクト(アート、教育、サイエンス)も多数作ってきました。

www.youtube.com/@MyWebAR

MyWebARで制作したAR作品の中で、特に好きなものは?

ARをストリートアートに使うのは本当に面白いですね。特に大きな建物に対して展開するARは、都市そのものの見え方を変えます。

いま進めているリサーチの一つは、ARを軸にした“仮想世界”の構築です。たとえば「Myrtis」の物語を扱うミュージアムの中で、ARによって仮想世界を重ねていくような試みや、AIとARのコンセプトを軸にしたバーチャルミュージアムの構想もあります。

あとは、手描きのインクドローイングにAIとARを掛け合わせたシリーズも制作しています。2024年10月11〜13日にCongress Hausで開催された「Zurich Art Fait 2024」でのインスタレーションにも繋がっています。

Picture inside virtual world

ARを使った結果は、期待通りでしたか?

期待以上でした。特に私が重視しているのは「アプリ不要」で体験できることです。見る側のハードルが一気に下がります。

また、複数のコンテンツソースを効率よく“固定”し、インスタレーション全体を1つのQRコードで扱える点は、制作の考え方そのものを変えてくれました。コレクターも、仕組みを理解すると「自分の空間でも同じ効果を再現できる」「友人や来客に見せられる」と感じて、展示や購入に前向きになることが多いです。

そのためには、本人のスマホで実際に試してもらうことが重要です。OSの壁が少ないことも大きい。さらに、説明パネルのような“導線”をきちんと用意することも欠かせません。QRコードは「作品情報(価格、Webサイトなど)を補足するもの」として認識されているので、その延長でAR体験へ自然に誘導できます。

Picture inside – Engelberg Switzerland Yoorart artspace
Picture inside – Engelberg Switzerland Yoorart artspace

あなたの作品を体験した後、人々のアートの見方は変わりましたか?

変わることが多いです。私の作品は、手描きのインクドローイングを土台にしながら、AI、自然、現実世界を混ぜ合わせて“新しい次元”とアニメーションを加えています。

一般の人は、デジタル、バーチャル、AR、VR、AIといった技術に、日常的に近いわけではありません。でも、実際に体験すると「見え方」や「考え方」が変わる。私はそうした対話を何度も重ねてきました。重要なのは、これは単なる機械の出力ではなく、人間の脳と手の表現が先にあり、その上にアーティストがコントロールする新しいレイヤーが加わる、という点です。

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ARとAIが前提になる時代、アートの未来はどうなると思いますか?

アートとは、アーティストが現実に付け足す“次元”のようなものです。ある意味、ずっと拡張現実だったとも言えます。そしてデジタルは、新しいキャンバスになりました。どのキャンバスも、別のキャンバスを壊すわけではありません。表現の領域を拡張し、現実を別の角度から見せてくれるだけです。

もちろん、課題もあります。たとえばコンテンツ保護の仕組みなど、解決すべき点はまだ多い。でも私は、解決策は見つかっていくと確信しています。軽量で実用的なグラス型デバイスも、きっと進化します。

私は、Vision Proのようなデバイスで現実に埋め込まれたQRを扱う未来にも期待していますが、よりシンプルなメガネ型デバイスにも希望を持っています。時間の問題です。アートの新しいフィールドはこれから次々に開いていきますし、私は表現の“場所”を広げるためにこれからも制作を続けます。

Jean-François Réveillardさんの言葉から伝わってくるのは、ARやAIを「流行りの技術」として扱うのではなく、表現の地平を広げるための“新しいキャンバス”として捉えている姿勢です。次の作品やインスタレーションが、どんな境界線を押し広げてくれるのか。私たちも楽しみにしています。

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