Metaは、Spark ARプラットフォームを2025年1月14日に終了すると発表しました。これを受けて、多くの疑問が浮かびます。業界全体にはどんな影響があるのか。特定のSNS向けに制作してきたARクリエイターは、これからどう動けばいいのか。今回はその整理をしていきます。
Metaがプロジェクトを終える判断に至った背景
DEVARがAR領域に本格参入したのは2015年です。最初の取り組みは子ども向けAR絵本で、これまでに累計1,500万部以上を販売し、現在は75カ国・27言語で展開しています。この10年で、没入型テクノロジー市場は何度も大きく姿を変えてきました。
当時から私たちは、SNSやメッセンジャー(Facebook/Instagram、Snap、TikTokなど)も、巨大テック企業(Apple、Microsoft、Googleなど)も、それぞれの形で没入型技術の世界に入り、いくつかの領域では「空気」を作る存在になると見ていました。実際、多くのARクリエイターがSpark ARのようなツールを使いながら成長してきたのも事実です。
ただ、ひとつのSNSの枠を超えて見れば、Metaは長年、ARとVRの“旗振り役”の一社として振る舞ってきました。そしてここ1年の動きを見ると、Metaが強く注力している方向性がよりはっきりしてきます。つまり、AR/XRグラスを通じて消費される没入空間への集中です。たとえば、Ray-Banとの協業拡大に向けてEssilorLuxotticaへの出資を発表したことも、その流れの延長にあります。
Metaは段階的に、現実世界の上に複数のデジタルレイヤーが重なる「新しい日常」へユーザーを連れていこうとしています。そして、その世界を体験する入口として想定されているのがAR/XRグラスです。なお、Meta初の一般向けARグラスのプロトタイプは、9月25日のカンファレンスで公開される可能性があるとも言われています。
では、ARフィルターの時代は終わるのでしょうか。おそらく、そうではありません。
ただし、消費の形が変わる準備が進んでいるのは明らかです。
そしてARクリエイターには、次の一手を打つための時間があります。
WebXRが広げるAR表現の可能性
AR/XRグラスの開発競争が加速し、デバイスへの期待が高まるほど、没入型デバイス向けコンテンツ制作の流れも強くなっていきます。MyWebARユーザーへの最新調査では、すでに22%がAR/XRデバイス向けコンテンツを制作しており、さらに52%が近い将来に制作予定だと回答しました。対象として挙がったのは、Apple Vision ProやMeta Questなどです。
どんなエコシステムでも、新しい「空間」が生まれると、そこには膨大な機会が生まれます。現在、AR制作スキルを持つ人は世界中に何百万人もいます。プログラマーだけではありません。デザイナー、マーケター、プロダクトマネージャーなど、クリエイティブ職も含めてです。
一方で、企業側もすでに動いています。中小企業からFortune 500まで、AR/XRを業務に取り入れ始めており、用途は研修、作業手順のAR化、顧客エンゲージメントやロイヤルティ向上のキャンペーンなど多岐にわたります。
かつてインターネットがECやリモートコミュニケーションといった新しい経済圏を生んだように、AR/XRもまた、新しい環境の基盤になります。未来がどう展開するかはまだ完全には見えなくても、そこに新しい経済的要素が次々と生まれていくことだけは確かです。
企業はかつて「自社サイトは必要か?」と問い続けました。いま同じように、「この新しい没入空間にどう入るべきか?」という問いが生まれています。そのとき重要な答えの一つになるのが、WebXRです。
MyWebARのARコンテンツ制作プラットフォームには、すでに20万人以上のユーザーがおり(現在も増加中)、没入世界を構成する“レイヤー”になるミニ空間やアセットを作り始めています。さらに重要なのは、MyWebARのAR体験がクロスプラットフォームで、任意のWebサイト、アプリ、SNSに統合できることです。つまり、コンテンツの所有者や制作者が削除しない限り、体験がどこかの都合で突然消えるリスクを減らせます。
ARクリエイターに開く新しいチャンス
テクノロジーとツールが進化するたびに、才能あるクリエイターに新しいチャンスが生まれます。今はまさに、SNS向けフィルター制作だけにとどまらず、AR/XR体験をより広い文脈で作っていきたい人にとっての“ブルーオーシャン”が開きつつあります。
没入空間という新しい世界で確かな立ち位置を取りにいく人。そこに生成AIの力も掛け合わせ、自分自身とクライアントの体験価値を引き上げていく人。そうしたクリエイターにとって、いまは準備と拡張のタイミングです。
それこそが、私たちがMyWebAR.comのクリエイティブ環境を日々アップデートし続ける理由です。ノーコードで始めたい人にも、コードで攻めたい人にも対応できる設計。デザイン制作を助ける生成AIや、text-to-codeでカスタム機能を作る仕組み。300以上の機能と、拡張し続けるプラグイン、パートナー連携のライブラリ。夢物語のように聞こえるかもしれませんが、これが「没入型テクノロジーの世界への入口」を、より多くの人に開く方法だと考えています。
私たちは、コミュニティに参加してくださる皆さんを心から歓迎します。特にSpark ARクリエイターの皆さんには、MyWebARでの新しいスタートに向けた特別条件も用意しています。
テクノロジーへの情熱と、創造への熱量。それがARクリエイターをつなぐ共通言語です。DEVARへようこそ。
アンナ・ベロワ、アンドレイ・コミッサロフ、DEVAR(MyWebAR)チームより。

