DEVARの創業者兼CEOであるアンナ・ベロワが、マーケティングにおけるAR(拡張現実)のインパクトについて、Entrepreneurに記事を公開しました。本記事では、その内容をMyWebARブログ向けに読みやすくまとめ、ビジュアルも添えてお届けします。
ポイントまとめ
ARは「話題づくりのギミック」ではなく、成果につながるパフォーマンスマーケティングの道具として捉えるべき。
フィジタルマーケティング(フィジカルな商品にARでデジタル体験を重ねる考え方)が、顧客とより深くつながる新しい入口になる。
ここ3年ほどで、没入型テクノロジーをめぐる環境は大きく動きました。AR、VR、XRが広がり、AIの進化も一気に加速。さらにAR・VRデバイス開発は本格的な競争フェーズに入り、CES 2024では「spatial(空間)」が重要なキーワードとして語られました。
つまり没入型テクノロジーは、もう「未来の話」ではありません。今この瞬間も現実として進み続けています。そして今後3〜5年で、空間コンピューティングやARグラス、VRによる没入体験は、より当たり前の存在になっていくはずです。
DEVARはARを専門領域として取り組んで約9年。ここでお伝えしたいのは、技術の変化がすでにマーケティングの現場に「新しい前提」を求め始めているということです。にもかかわらず、多くのマーケターはARを「WOW演出」「広告の一手段」としてしか見ていない。そこに大きな機会損失が生まれています。
顧客はどこにいる?
いまのマーケティングは、仮説検証に多くの時間と予算が使われがちです。理由はシンプルで、「すでに商品に触れたことのある適切な人」に効率よく到達する戦略が見えにくいからです。
ARはまだ「驚きの演出」と捉えられがちですが、AR広告への投資額は増えています。たとえばARマーケ予算は、昨年の約30億ドルから、3年以内に約120億ドルへ伸びる見込みだという話もあります。
ただし重要なのは、ここで「フィジカル商品にARをどう組み込むか」という議論がまだ十分に深まっていない点です。
私たちは、フィジカル商品がデジタル世界へのポータルになると考えています。スマートフォンが行動を変えたように、ARグラスが普及すれば消費行動も変わる。情報をグラス越しに受け取るのが当たり前になれば、デジタルコンテンツを持たない商品は「選ばれにくく」なる可能性があります。今こそ、マーケターがこの変化を理解しておくべきタイミングです。
Appleのティム・クックはこう語っています。
「ARは、いつか振り返ったときに“ARなしでどうやって暮らしていたのだろう”と思う、数少ない本質的な技術のひとつだ。」
マーケティングの変化は、その入口にすぎません。
フィジタルマーケティングとは
フィジタルマーケティングとは、フィジカルな商品とデジタル体験を結びつける新しい広告の考え方です。従来のデジタル施策と違い、鍵になるのはARを使った“深い関与”です。
では、どんな業種や商材がフィジタルと相性が良いのでしょうか。たとえば、次のような領域です。
- 店頭で目立つためにパッケージが重要な商品
- ECやマーケットプレイス上で販売される商品(画面上でもARで体験できる)
- SNSでの発信を重視しているブランドや商品
- 本や玩具のように、没入型で触れられる体験と相性が良い商品
- ショッピングモール内など、ターゲットを一度に集めにくい店舗ビジネス
- フィジカル作品からパフォーマンスまで含むアートプロジェクト
- 小さなポスターから大型ビルボードまで、物理メディア広告
- ニッチ領域で、認知獲得や興味喚起が難しい商品
- 認知、ロイヤルティ、顧客の声を重視するグローバル企業
- 上記を横断し、データと統計を武器にできるマーケティングエージェンシー
さらにフィジタルでは、次のような情報取得の可能性も広がります。
- ユーザーのデータ(デジタルプロフィール、嗜好、SNSでの行動など)
- 商品体験の履歴(お気に入りシーン、利用頻度、地域など)
いまはまだ想像しにくい指標もありますが、将来的にはさらに多くの分析軸が増え、商品改善へのフィードバックも取りやすくなるはずです。何より重要なのは、**フィジタルはすでに「今日から始められる」**ということです。
いま、何ができる?
マーケターの皆さんへ。ARを「WOW演出」だけで終わらせないでください。あれは氷山の一角です。ARはパフォーマンスマーケティングのための、実務的で強力なツールになり得ます。
ARを使えば、フィジカル商品をそのまま以下の入口に変えられます。
- Webサイト
- 専用ランディングページ
- SNS
さらにSNS広告アカウントと連携すれば、オーディエンスの理解を深め、リターゲティングにつなげる設計も可能です。パッケージにQRを追加するだけでも、ARコンテンツを組み込めます。
フィジタルマーケティングの世界へようこそ。ここからが、次の当たり前になっていきます。

