今回のインタビューでは、拡張現実(AR)を教育プログラムに取り入れているブラジルの先生たちの実践を紹介します。先駆者としてARを授業に取り込んできた彼らが、導入のきっかけ、現場での課題、得られた成果、そしてこれからの展望まで率直に語ってくれました。
お話を伺ったのは、システムアナリスト兼開発者で、教育テクノロジーとオンライン教育の大学院生、そしてAR開発者でもある Ronan Corrêa Santos(ロナン・コレア・サントス) さんです。
まずは自己紹介をお願いします。教育センターでコンピュータサイエンスを教えるようになった経緯も教えてください。
私たちのチームは次の3人で活動しています。
- Ronan Corrêa Santos
システムアナリスト兼開発者。教育テクノロジーとオンライン教育の大学院生。AR開発者。 - Romário Costa Ribeiro
システムアナリスト兼開発者。教育ロボティクスおよび教育における情報通信デジタル技術の大学院生。マラニョン州立教育・科学・技術研究所(IEMA、ブラジル マラニョン州サンルイス)講師。AR開発者。 - Andrey Marcos Mendonça Ferreira
システムアナリスト兼開発者。教育における情報通信デジタル技術の大学院生。マラニョン州立教育・科学・技術研究所(IEMA、ブラジル マラニョン州サンルイス)講師。AR開発者。
私たちは新しい没入型テクノロジーに強い関心を持ち、その可能性を社会に広げたいと考えています。特に、社会的に脆弱な立場にあるコミュニティやグループに対して、学びが「面白い」「参加したくなる」ものになるよう、実践型の教育を中心にイノベーションと技術を届けることを目指しています。
そもそもARに初めて出会ったのはいつですか。特に10代と関わる中で、最初はどう感じましたか。
2021年の終わり頃、私(ロナン)はシステム分析・開発コースの卒業制作テーマを探していました。モバイルやWebアプリをいろいろ調べて試す中で「Civilisations AR(BBC)」というアプリに出会い、同じようなアプリを作ってみようと思ったんです。当時は、それがARだということすらよく分かっていませんでした。
数か月後、マングローブ林の動植物を小学生に教えることを目的とした「ManguApp」というアプリを開発しました。この学習プロセスの中で、アプリからWebページまで、没入型AR体験を作れるさまざまなツールを知り、そのタイミングでMyWebARにも出会いました。MyWebARは操作がシンプルで、しかも結果がとても印象的だったのを覚えています。
卒業後は、故郷のカルタペラ(ブラジル マラニョン州)の学校で、生徒や先生向けの研修コースをいくつか作りました。それ以来、AR開発をさらに学び続け、毎日少しずつ知識を深めています。2023年にはロマリオとアンドレイに出会い、3人で没入型技術を学びながら、教室での実践を広げていく活動を始めました。
教育プログラムにARを取り入れようと思ったきっかけは何でしたか。
ARは文化、エンタメ、教育など幅広い分野で活用できます。私たちがARを学ぶ中で早い段階で気づいたのは、教育分野はまだ十分に開拓されていないということでした。つまり、ブラジルで使える教育ARのアプリや事例がもっと必要だと感じたんです。
さらに、既存のアプリの多くは英語で作られていて、ブラジルの学生にとっては使いにくい場合が多い。結果として授業が単調になりがちでした。
こうした課題に加えて、若い世代が新しい技術に強い好奇心と熱量を持っていることもあり、ARは生徒の興味を引きつけ、学びへの集中を保つための新しい方法になると考えました。ARは教育環境をより刺激的にし、複雑な概念をインタラクティブに探究する手段にもなります。先生が教室で扱う内容を、より見える形にし、理解につなげられるのも大きな魅力です。
10代の授業で、ARやVRのような没入型技術はどれくらい使ってきましたか。


教育現場でARとVRを使い始めてから、2年以上になります。
特にMyWebARを使ったプロジェクトで、印象に残っている取り組みはありますか。
ワークショップの写真や動画は喜んで共有できます。ほかの記録はInstagramでも見ることができます。
@andrey.mendonca
@ronan_csantos
@romario_cribeiro


AR活用の結果は、期待通りでしたか。どんな成果があり、生徒にどう役立ちましたか。
はい、結果は期待通りでした。むしろ、毎回のセッションで新しい驚きが生まれています。私たちのセッションの目的は、参加者にARという概念を紹介するだけではありません。ARがどんな場面で使えるのか、最初の体験導線はどう設計するのか、そしてMyWebARを使って没入型体験を自分の手で作るところまでを一緒に探究することです。参加者はプラットフォームの機能を一通り触り、自分の創造力をもとにAR体験を形にしていきます。
セッションで得られる学びは、問題解決、計算論的思考、実践型学習、創造性、そしてロジックを土台にしています。
教育におけるARとVRの未来をどう見ていますか。今後さらに広がっていくと思いますか。
はい、私たちは教育におけるARとVRの未来はとても明るいと考えています。教え方、学び方そのものを変える可能性があり、教育プロセスをより没入型に、よりインタラクティブに、そしてより魅力的にできます。
さらにARとVRは、現実では再現が難しい、あるいは非現実的な状況や環境を生徒に体験させることができます。これによって概念理解が深まるだけでなく、学習への関与や記憶定着にもつながります。
時間が経つにつれて、こうした技術はより使いやすく、コスト面でも現実的になっていきます。デバイスやプラットフォームが進化するほど、教室への普及も進むはずです。ARとVRは、今後「教育ツールの定番」になっていくと思います。学校や教育機関がその価値を認識するほど導入は増え、年齢を問わず、より豊かで多様な学びの体験が提供されていくはずです。

